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雨が降れば思い出す。
貴方と私が初めて出会ったあの日のことを…
あの日も強い雨が降っていて、貴方は雨に濡れていた。
俯き、雨に濡れながら歩く貴方は濡れた髪がその美貌に張りついて色気すら放っていて…………
私はそんな貴方に目を奪われた。
今まで出会ったどの人よりも綺麗だった。
我に返り、私はさしていた傘を貴方に貴方に差し出した。
少し戸惑った様子はあったけれど、貴方は私を見て【ありがとう】と微笑んでくれたんだ。
その笑顔は私の中で今も消えずに残ってる。
そして時が過ぎ、私は貴方の隣を歩く様になった。
私の望んだ位置では無かったけれど、貴方の隣にいられるのが何より嬉しかった。
貴方は私に笑い、泣き、怒り、様々な表情を見せてくれるようになった。
私の中で貴方は特別な存在のままであったけれど、隣を歩く貴方にはこの想いを伝えられることができなかった。
伝えてしまったら、今のこの関係まで壊れそうな気がして、伝えられなかったんだ。
誰かが私のこの想いに気付いてしまったのなら、【邪恋】と謗るだろう。
決して叶わない…許されない想いだと私自身頭では分かっている。
けれど止められない。
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