傘の忘れ物

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  ――… 『ぁ、』 明日のお昼でも買おうと、 仕事帰りにコンビニへ寄った そこでバッタリ会ってしまったのは 今、私の頭を締めている原因である 傘の後輩君だった (名前は知らないので傘の印象で覚えている)     「水城さん、今晩は」 『あ、今晩はです‥』 なんだか今朝の事を意識してしまって いつもよりも不自然に瞳が泳ぎ、ギクシャクしてしまう そんな私とは対照的に 後輩君は人懐っこいそうな笑みを返してくる そんな仕草にも心が戸惑ってしまう 私が過剰に意識し過ぎているだけなのだろうか そもそも、あれは告白であったのかな? 単に、同僚として好きだと言ってくれただけだったのだろうか… そういえば 彼は社内では人気の高い方らしいんだっけ… 彼が入社する際、友人の一部が騒いでいた気がしたが その時はまさか、こんなふうに関わる日が来るとは思わなくて 全く無関心だった そんな人気者の彼が 引っ込み思案で男の人とうまく接することも出来ない自分を 好きになる筈などないと 今更ながら、きっと 自分の勘違いだったんだと 恥ずかしくなった _
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