話が噛み合わない

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朝食をすませた後はいつものように授業が始まる 今日は1限目から自習だ 先生が腹痛で寝込んでいるとか何とか… なので教室内は当然、遊びに溢れている 勉強する気はもうとうないらしい エスカレーター式だからといえど、仮にも受験生だ もう少し自覚を持ったほうが良いのではないだろうか そう考えながら、汀夜も勉強はしていなかった 教科書もノートも開いているが、頭の中はそれどころではなかった 汀夜の視線は窓の外に向けられていた 教室の窓側で後ろの席に座っているので大門と東棟が見える (昼休み、あそこに行くのか) 億劫だな、と思いながら東棟を見詰めていた 視力の良い汀夜は何かを見つけ、目を見開く 人がふわふわと浮いていた 「は…!?」 勢い良く椅子から立ち上がって声をあげた汀夜に友人達は尋ねる 「どうかしたか?」 「…いや、何でもない」 見なかったことにしよう そう自分に言い聞かせて汀夜は静かに座った 「汀夜、勉強ばっかしてないで遊ぼうぜ」 「何云ってんだよ。お前達こそ遊んでばっかいないで少しは勉強したらどうなんだ?」 「エスカレーター式なんだから遊んでおかないと勿体ねぇじゃんか。なぁ?」 「そうそう」 周りの友人達も同意して頷く いや、勉強しろよ 結局、友人達の遊びに巻き込まれる事になった それにしても東棟のとある教室で 何故、人が重力に逆らって浮いていたのだろうか… やはり気になって仕方のない汀夜であった      
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