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いつしか僕も大人になり時間に追われるような毎日を送っていた。
そんなある日、おばから電話があったのだ。
母がもう長くないのだと。
僕はそれでも母の元に行くことが出来なかった。
忙しくて行く時間がない。
無理やりそう思い込んでも本当はわかっている。
大人になっても、あの事実と向き合うのが怖かっただけだ。
僕は子供の頃からちっとも変わってないのだと思うと情けない気持ちになる。
―そして母の誕生日―
母の病院の看護師から電話があった。
―あなたのお母さんでしょ?―
看護師の涙ぐんだ責めるような声に僕の心がキリリと痛んだ。
そして不安になった。
本当にこれで良いのか?―
お母さん…―
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