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あの日からどれくらいの時間が過ぎたのだろう。
目の前の母は、その年月を感じずにはいられないくらい老いていた。
そして、ただ悲しかった。
もう、その瞳が開くことはないのだと気付いてしまったから。
その反面、心のどこかで安堵している自分がいた。
もう拒絶される恐怖を味わう心配がいらなかったから。
僕はどこまで弱い人間なのだろう。
自嘲気味に窓に目を向けると窓際にぽつんと置かれているものが映った。
―!―
心臓が大きく高鳴る。
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