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しゃぼん玉とんだ…
屋根までとんだ…
屋根までとんで…
壊れてきえた…
母は昔から良くこの歌を唄っていた。
家の裏にある小さな神社の石段に座って。
夕焼け色に染まった誰も居ない神社に、母の静かな澄んだ歌声が響く。
僕は母のこの歌を聴くと、いつも悲しくなった。
何故だか母が泣いているように感じたからだ。
どこか寂しい歌詞が余計にそう思わせたのかもしれない。
でも大好きだった。
僕は母の隣に座って、赤く染まった夕日が落ちるのを静かに眺めるのが好きだった。
かぜかぜ吹くな…
しゃぼん玉とばそう…
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