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本当に少しずつ…
母の変化はゆっくりと進行していたので、僕はなかなか気付くことが出来なかった。
だから気付いた時、本当に後悔した。
母は笑わなくなった。
家事をしなくなった。
1日中、ぼうっと家に居て生きることを放棄したかのように。
そして何より僕を見なくなった。
あの時の僕は、どうして母がこんな風になってしまったのか全く理解することが出来なかった。
今なら―
今なら、あんな父でも母は愛していたのだと。
あんなに暴力を振るわれていたのに、それでも父を大切に思っていたのだ。
父は母を愛していたのだろうか。
精神を崩した母は程なく病院に入院することになった。
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