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蒼
ピピピピッ――
聴き慣れた機械音を消し、再び枕に顔を押し当てた。
いつもならここで二度寝といくところだが、
「エへへ。」
今日は自然と顔が緩み、目もパッチリ開いている。
昨日、僚と出会ったあと、
「じゃあ―」
と言って帰ろうとする僚を無理矢理呼び止め、
これもまた無理矢理アドレス交換をして、
そして、またもや無理矢理、今日会う約束までした。
俺の必死な様子を見ながら、僚は、
「おまえ、キモッ!!」
とか言いながらも、嫌がる素振りも見せず、俺の言うことに承諾してくれた。
「明日、何をするの??」
僚が聞いてきた。俺は、
「だから、僚と会うの。」
「だから、何の用で??」
「えっ。友達と会うのに用が必要なの?!?!」
俺がそう言った瞬間、僚の顔が赤くなった。
「おまえ、だからそんなハズいセリフ、言うなよ。」
「えっ。何、おまえ、そんなに今のセリフがうれしかったのか。」
はあー。
僚がため息というよりも大きく息を吐いて、
「じゃあ、どこ行くか決めておいて。俺、レン探してくる。」
と言って、長い足で雨の中へと駈け出して行った。
そんな後ろ姿を見て、俺はなぜか誇らしげな気分になった。そして、明日はここに行って、あそこに行ってーと一人楽しく計画を練っていた。ついさっき会ったばかりの人のことをこんなにも考えて、そして信用していた自分を後から考えれば、不思議に思ったが、その時からすでに僚は俺の中で親友の域に達していた。そしてそれは、一日明けた今でも変わらない。
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