プロローグ「夜」

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そうですね…。 梨花とずっと一緒にいた僕にその痛みがわからないわけがなかった。 圭一が一人恐怖し狂ってしまった時だって…。 レナが誰にも相談できず最悪の選択肢を選んでしまった時だって…。 詩音が想うあまり、戻れなくなった時だって…。 沙都子が一人自分を責めながら追い詰められた時だって。 あなた自身が知りもしなかった誰かに殺された時だって…。 あなたは全てを経験し… その傍らにいた僕も全てを経験した。 そうなるたび苦しかった。悲しかった。 でも…………、 惨劇を再び見てほしかったわけじゃない。 あの血塗られた最後をまた味わってほしいわけじゃない。 梨花……あなたが勇気を振り絞って紡いだ言葉。 僕はそれが聞きたかった。たとえ梨花が拒否しても 僕はあなたに……………
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