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使用人を少数雇う程度の小金持ちの商人などが多く住まう町、ルルク。この地は美しい海と森に囲まれているものの、住人以外の立ち入りが制限されているため、観光シーズンでも別荘にやってくる者が少し増える程度で年中落ち着いている。
また、客層の影響であろう、店は皆、己の扱う品に自信を持ち、『良いものは高く仕入れて高く売れ』方式で商いをしている。
そして長く美しい黒髪の賞金稼ぎ、アイラ・ティルクス。彼女もまた、この地に別荘をかまえていた。
「お帰りなさいませ、アイラさま」
アイラの到着を一人の侍女が深い一礼で出迎える。最近この町では多種多様なメイド服が流行っているらしいが、彼女のそれは昔ながらの清楚なものだ。
ちなみにこれには彼女自身の誇りとこだわりが詰まっているらしい。
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