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「ああ……美味しい……」
フォークで一口大に切ったミルフィーユを口に運び、アイラは余所では見せない恍惚の表情を浮かべる。
バターの香り広がるまだ温かい焼きたてサクサクのパイ生地、バニラビーンズの香りのよく冷えた甘いカスタードクリーム、大粒のルビーのような甘い苺……
それぞれ別々に食べたとしても間違いなく美味であろうそれらが合わさり絶妙なハーモニーを奏でる最高のスイーツ……
それがパティシエの資格を持つ彼女、ティーリーのミルフィーユだ。
シンプルなスイーツではあるが、材料の品質から始まり、パイの厚さとカスタードクリーム・苺との比率など、彼女が一切の妥協を許さずに研究に研究を重ね、そしてこだわりにこだわり抜いたそれは、もはや他の追随を許さない至高のミルフィーユだった。
「ありがとうティーリー……貴女が私のメイドで本当によかった……」
「お褒めにあずかり光栄です」
久々に口にした至高のミルフィーユに感動しながら、アイラは幸せそうにミルクティーを口へと運ぶ。
向かいの席からその様子を眺めるティーリーは冷静を装おうとしているが、その表情は喜びを隠し切れていない。
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