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「はぁん……」
しっかりとしたアールグレイの芳醇な香り……それでいて渋味は出過ぎない絶妙な味わい……そんなミルクティーがアイラの口の中でミルフィーユとワルツを踊りながら溶け合う。
「ティーリー……これじゃあまたしばらくは余所でミルフィーユとアールグレイのミルクティーが頼めなくなるわ……困ったわね」
「うふふ、では今回のご滞在の間には色々なものをしばらくの間、余所では召し上がれないようにして差し上げましょう」
少女が悪戯をするときのような笑みを浮かべながら、ティーリーもミルフィーユを口に運ぶ。その口振りには普段独りでこの別荘を守る寂しさが無意識の内に含まれていた。
「私のいない間に何か変わったことは?」
「そうですね、最近近くの森に夜盗一味が住み着いたらしく、何軒かの家が被害に。
もう警察はあてにならないとか遅いとのことでちょうど昨日の朝に町でも賞金がかけられたと聞いております」
ミルクティーをすすり、ティーリーは答えた。
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