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記憶は一向に戻らずにいる。
だけど…
「柚子!はよ!」
毎朝こうして律は、
あたしに挨拶してくれる。
昔のように柚子って呼んでくれる。
だから、あたしは
このままで良いかも…
なんて考えていた。
「お、律じゃん!はよっ」
「颯!はよー!」
この人は近藤颯。
葵が言うには、
律と幼なじみらしい。
あたしそんなこと知らなかったなぁ。
それに律は近藤君の事は
覚えてるみたいだし…。
どうしてあたしだけ
記憶に残ってないの?
近藤君にちょっと聞いてみれば、わからない事もわかるかもしれない…。
そう思ったあたしは近藤君に声をかけた。
「ねぇ、近藤君?
ちょっとだけ放課後いい?
話があるの…」
「…いいよ。
それより近藤君ってやめろよなー。皆颯って呼んでるし颯って呼んでよ」
「あっ、うん!!!
ありがとう、颯!!!」
「おう!」
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