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賢者の石
辺境の町リオール
兄15歳 弟14歳
「は、腹へったぁ…
喉渇いたぁ…」
少年ががっくりうなだれながら言う。
「はいはい、もう心配ないよ。
街に着いたからね」
隣には屈強な鎧が立っている、しかしその外見からは想像出来ないほど幼い声を発していた。
「食い物ぉぉぉ…
水ぅぅ……」
「ははは、兄さんってば🎵」
二人が呑気なやりとりをしていると一人の女性がやって来た。
「あら、今日は賑やかね🎵」
女性は二人を見てクスクス笑う。
「見慣れない方ですね。
旅の方ですか?」
「ああ、ある物を探して
旅をしてるんだ」
「僕、錬金術師のアルフォンス・エルリックです」
「私はこの街に住むロゼ・トーマスよ。
よろしくね」
「俺は国家錬金術師のエドワード・エルリック!」
「あなた方は兄弟なの?いいわねぇ、家族がいるって。
一人じゃないものね」
ロゼは思い付いたような顔をし二人にニッコリ微笑みかける。
「ねぇ、錬金術って何?
私、詳しくないの。教えてくれる?」
「いいですよ」
「錬金術ってのは科学だ。だから術師ってよりは俺達は科学者なわけ」
「科学者……どんなことが出来るの?」
「例えばラジオが壊れたとするね、それを直すことが出来るんだよ」
「こういう風にさっ!」
そういうとエドワードはすぐ側にあった店のラジオをわざと落として壊す。
「あーっ!
ちょっと困るな、お客さん」
「すぐ直すからさ。まぁ見てなって」
するとアルフォンスが地面に錬成陣を描き手を翳すとラジオが元通りに錬成される。
「これでいいかな?」
「こりゃ、驚いた」
「…それは『奇跡の業』のこと?」
「そういう神秘的なものとは少し違うんだよ」
「そうだなぁ、例えば…
手品も仕掛けがわからないととても不思議で神秘的だよな」
「ええ、たしかにそうね」
「錬金術も同じだ。必ず、原理原則がある。それを知らないと…」
「不思議だったり神秘的だったりするんだよ」
「私にはちょっと難しいかな。
教えてくれてありがとう。
それじゃ、私は教会へ行くわ」
そう言うと、ロゼは教会へ向かった。
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