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人体錬成
大陸暦1910年 2月
リゼンブール村
兄 11歳 弟10歳
部屋の一室に子供が二人立っている。
「肉体は揃えた…………アル…………母さんを元に戻そう。生き返らせるんだ!」
「…人体錬成は禁じられてるよ?それに錬金術は等価交換…………肉体は交換出来ても………魂は何と交換するの?」
「………いいから指を出せ。俺達の血も必要なんだ…切るぞ」
エドワードは自分の指とアルフォンスの指を切り血を大きな盥の中に落とす。
「イタッ!!」
「この血で魂の情報はよし………始めるぞ!」
二人は床に手を置き錬成を始める………悲劇の始まりだとは知らずに……………。
錬成は順調だと思われたが突然、異変が起きる………。
突如アルフォンスの体が消え始めたのだ。
「兄さん!!なんか変だよ!!僕の体が消えていく!!」
「アル!!、あっ!!俺の足も!!」
そしてエドワードの左足も消えていく。
「兄さん………兄さん……」
アルフォンスは無惨にも錬成陣から出た黒い手にひぎずりこまれていった。
「アルぅぅぅぅ!!」
エドワードは何も出来ずただ弟の名前を叫ぶだけだった。
人は何かの犠牲無しに、何も得ることは出来ない。
何かを得る為には同等の対価が必要になる。
それが錬金術における等価交換の原則だ
その頃、僕らはそれが世界の真実だと、信じていた…………
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