0人が本棚に入れています
本棚に追加
三階の角部屋、左下は多摩川から田畑用に引いた用水路が流れている。
建物の裏は梨畑とイモ畑だ。
「秋には、地元小学校の芋掘りがありますけど、時間帯が昼間のほんの数時間ですから、気にならないと思いますよ。」
不動産屋のおじさんはそう言ったが、芋掘りがリアルタイムで行われてるその時には気にならないけど、「その畑は誰の所有地なんだろう?」
とか、日常的にその畑の存在が気になるじゃないか~!
「でさ、三階のこの窓」
千明がカーテンを引いた。
「最初にここから風を感じたんよ。」
「…」
何か言おうとする私を縦にした手のひらをスッと伸ばして遮ると、千明は窓を開けた。
「美穂は、リビングに真っ先に案内したけど、その前にあたしは、この部屋のこの窓のカーテンの向こう側に歩く人影をみたの、ごめんね、勘違いしないでね、この部屋になんかが憑いてるとかそういうんじゃないからね」
最初のコメントを投稿しよう!