すかんぽの道

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三階の角部屋、左下は多摩川から田畑用に引いた用水路が流れている。   建物の裏は梨畑とイモ畑だ。 「秋には、地元小学校の芋掘りがありますけど、時間帯が昼間のほんの数時間ですから、気にならないと思いますよ。」   不動産屋のおじさんはそう言ったが、芋掘りがリアルタイムで行われてるその時には気にならないけど、「その畑は誰の所有地なんだろう?」 とか、日常的にその畑の存在が気になるじゃないか~!   「でさ、三階のこの窓」 千明がカーテンを引いた。 「最初にここから風を感じたんよ。」 「…」 何か言おうとする私を縦にした手のひらをスッと伸ばして遮ると、千明は窓を開けた。 「美穂は、リビングに真っ先に案内したけど、その前にあたしは、この部屋のこの窓のカーテンの向こう側に歩く人影をみたの、ごめんね、勘違いしないでね、この部屋になんかが憑いてるとかそういうんじゃないからね」  
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