黒髪の悪魔

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「捜査一課とは名ばかりで、ここ最近はSPをしていましたからね。」 さらりと言っていい内容ではない気がする。 「まぁ、色々諸事情があって私の机だけここにありましてね。実際来たのは数回。捜査一課とは現場でしか会った記憶がありません。」 「それじゃ、後で阿部にでも案内させる。」 部内では一番若く、署内でも人当たりが良いから適任だろう。 「いえ、結構ですよ。」 「そうか。」 「貴方に案内していただきますので。」 「…………」 一人で大丈夫だという意味ではなかったのか。 「出る前に必要最低限で結構です。下手に人当たりの良い新人あたりと、無駄な時間を過ごす気はありませんからね。さて、私の机はどちらでしょうか。」 「……俺の隣だ」 椅子に座り、パソコンを起動させる今井を見ながら、俺はまたため息をついた。 そんな俺を見て、筑紫さんは声をだして笑っていた。
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