黒髪の悪魔

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「お前、いくつだ?」 「スリーサイズ?」 「気持ち悪い!」 「ははっ。そんなにストレートに返されると面白いですね。」 今井は携帯から目を外さず言った。 「28です。」 「結構いってるんだな」 「おや、珍しい。よく老けて見えると言われるのですが。」 「俺には口の減らないガキに見える」 「無口よりはよろしいかと」 俺には無口な方が有難い。 少し気をつかって話をしてみたが、なんだか損をした気分になるのは何故だろうか。 「櫻井さんは日本人ですか?」 黙っていようと思ったら、今度は逆にえらく直球な質問が飛んできた。 「戸籍も産まれも日本だ。日本の血はほんの少しだが」 「そうですか。」 それだけで、今井はまた携帯に見入って黙ってしまった。 一体なんなのだ。 興味がないのなら聞かなければいいのに。
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