3165人が本棚に入れています
本棚に追加
俺も筑紫さんも、噂に左右される性格ではない。
自分の目で見てから判断する。
まぁ、そうでなくてはこんな職業を続けられやしないが。
「あくまで噂でしょう。俺は結構ですよ。」
俺が先手をきって言うと、筑紫さんは苦笑した。
「そう言うと思った。」
それでも言うか言わまいか悩んだのは、筑紫さんの気の優しいところだ。
仲間意識は非常に強い人だから、心配で気になって仕方ないのだろう。
「今俺は可愛げのない今井よりも、妹の方が心配なんです。神経あいつに割いている暇はありません。」
「…お前も、シスコンじゃなきゃなぁ…。」
「シスコンではない。」
「ハイハイ、保護者様」
筑紫さんは両手を上げ、言った。
そう、俺は余計な事をしている暇などないのだ。
最初のコメントを投稿しよう！