黒髪の悪魔

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「おや、えらく寝不足不機嫌顔ですね」 朝イチから気に障る笑いを含んだ声。  これを毎日聞いていると、たまに自分でも青筋たてているんじゃないかと思ったりする。  それくらい今井の言葉はいつも俺の的を得ていたから。  「寝不足は認める。」 「不機嫌はいつものことですしね。」 「…………。」 「せっかくの綺麗な顔が台無しですよ。貴方はもっと笑った方がいい。」 「お前に言われたくない」 「私は常に笑顔ですが」 「嘘つけ。目が笑ってないだろうが」 「眼光鋭いのは父親似ですから致し方ありません。これでも貴方には優しい眼差しを向けているつもりなのですよ。」 男に言われても、嬉しくもなんともない。  男じゃなくとも嬉しくないが。
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