黒髪の悪魔

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なんとかうるさい筑紫さんを追い払い、俺は自宅に向かった。  2LDKのマンション。  オートロックなどセキュリティを重視したので安くはないが、年頃の妹を一人で残す事が多いので気にはならない。  二人暮らしといっても、俺には定休も時間も決まっているわけじゃないから、妹はいつも一人だった。  11歳離れた幼い妹を残していくのはいつも気になる。  しかし、妹を立派に育ててやりたい。  親がいなくとも。  いや、いっそいなければどんなに楽だったか。  「初花?」 玄関のドアを開けてリビングに入る。  閑散とした、物のないリビング。  俺も初花も物に囲まれた生活は基本的に好きではないので、必要最低限のものしかない。  引っ越しが多かったこともあるが。  「初花?」 妹の部屋のドアをノックする。  返事はない。  「開けるぞ」  仕方なしにドアを開けると無人だった。  「家にいろと言ったのに」
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