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「明日捜査一課から異動になる話は聞いているか」
「はい。正式な発表がなかったので、あくまで噂の範囲ですが」
捜査第一課から鑑識に異動など、異例中の異例だ。
噂は何日も前から広がっている。
しかし、詳細が一切わからないまま。
異例な人事だけに、皆下手に騒げないのだ。
「その今井なんだが、しばらくお前に預けることにした。」
事後承諾か。
俺はこの課では位置的に後輩を育てていく年齢となった。
しかしこの外見と性格故か、教育係には全く向いていないことは自覚している。
鑑識を希望したのも、他の課より個人行動が多いからに他ならない。
人付き合いが嫌いなわけではないが、そんな時間があれば家に帰る。
妹が家を出る出ないともめている時期なだけに、最近は余計に帰宅が早くなる。
同僚と過ごす余分な時間も、後輩の面倒をみる時間も、正直今は億劫なだけ。
「そう思いっきり嫌な顔をするなよ。」
「この時期に異動ということは、何か問題があるんでしょう?」
「なに、些細なものだ。」
認識には個人差があるということをわかってもらいたいのだが。
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