黒髪の悪魔

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「まあ、筑紫さんはどうでもいい、早く手を放せ。どけ。」 「嫌だと言ったら…?」 今井はシャツ全開。 何故か下着を着けておらずタンクトップだけなので、スモークガラスでもない社用車では外から丸見えだった。 「立派な公衆猥褻だ。」 「脂肪だの猥褻だの、貴方は女性の心理というものに配慮がありませんね」 「一般的な女性は同僚の腕の神経を麻痺させたり、いきなり胸を触らせたりしない。これは強制猥褻だ」 「強姦罪までいきます?」 「蹴り上げるぞ」 「冗談ですよ」 当たり前だ。 「残念です。貴方はてっきりゲイかと思っていたので」 「断じて違うし、ゲイならなんで残念になる」 「ゲイの方にモテるんですよ、私。見た目は父親に似てこんなんですし、でも中身は女だから都合がいい。」 「俺を一緒の部類にするな。本気で蹴るぞ」 ゲイにもアホな男にも同類にされてたまるか。
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