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今井は楽しそうに笑うと、俺の上半身を起こした。
座席も一緒に起こす。
腕は見事に麻痺したままだが、足は動く。
今井に上半身を支えられ、なんとか助手席に移動する。
腕が動かないだけで、かなりの重労働だ。
「櫻井さん。私は貴方に興味が持てました。」
「全く迷惑な話だな。」
今井は嬉々として車のエンジンをかけた。
もう今井の戯れ言は聞きたくない。
何が飛び出てくるのか、わかったもんじゃない。
俺はただ静かに家と仕事の往復をして、初花と過ごしたいだけだ。
「しばらくは貴方のバディで楽しめそうです。」
「俺はご免だ!」
こんな非常識なパートナーなんぞ絶対認めない。
「どうでもいいからちゃんと服を着ろ!!」
俺の怒鳴り声がむなしく車内に響いた。
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