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「あー!!秀一さんやん!!」
今井から発泡スチロールを奪い取って、無理して動かした痛さに顔を歪めていると、背後から聞きなれた発音と聞きなれない声がした。
「ん?」
背後には俺より背の高い、黒髪に眼鏡の青年がいた。
短い髪をたたせ、眼鏡はデザイン性の良いものをかけている。
白の帽子とダウンジャケットにジーンズ、背中にはリュック。
知的な、しかし愛嬌のある整った顔。
「なんやなんや!もしかしてわからへんの!?」
「…裕美の声に似ているが、見たことない顔だな」
「質の悪い冗談はやめてや!!どっからどう見ても古谷裕美ちゃんやん!」
確かに、このノリは間違いない。
「しかし…デカくなったな」
「せやろ!?たぶん俺6人中で一番大きいなったで」
「顔もまぁえらく…古谷さんと瓜二つに…」
「うそやん!そこは絶対嫌や!」
そうは言うものの、目元や甘い顔立ちは、間違いなく数年前より似てきている。
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