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   ここは夢の中だから。  僕もフワリと浮ける。 「ついてきて」  僕はためらわない。  スルスルと飛んで行く女の人についていく。  現実なら絶対ためらうけどね。  ここが夢の中である以上、この人もきっと、僕の頭が生み出した夢――。 「それは、ある意味では正しいけれど、間違っているわ」  女の人が振り向いている。いつの間に。心臓に悪いなあ。  ――それって、どういうこと?  黒い目が僕を捉えて、吸い込まれそう。 「夢は、完全なオフラインじゃないってこと」  ――よくわからないけど……君は、僕じゃないの? 「君の現実の定義で言えば、ね」  ――僕の現実? 「次元の話よ」  ジゲン? ジゲンって、なんだっけ?  それも聞いたことのある単語だけれど。  思い出す前に、女の人はまた飛んで行ってしまう。  ――待って。ジゲンってなんなのさ。  後ろ姿に問いかける。  なびく黒い髪からはまた、夢の香り。  
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