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アハハと自分の言ったことに苦笑する亮介に美香は堪らなく嬉しくなりながら小さく首を横に振って笑顔を向けた。
「ううん。そんなことないよ。そういう風に言われて嬉しくないわけないよ」
そして彼女は心の中で決めた。
一生この人の傍にいたい。どんな辛いことがあっても、どんな試練があっても、どんな悲しいことになっても、一生私はこの人を支え続けていたい。
「そ、そっか」
彼女の笑顔を見ていて何だか物凄く恥ずかしくなってきた亮介は思わず顔を横に逸らしてしまった。
そんな彼に美香は天井を見つめながら期待するように呟いた。
「じゃあ、きっとあっという間に来ちゃうんだろうな…」
「来ちゃうって何が?」
不思議そうに訊いてくる亮介に美香は頬をちょっぴり桜色に染めてはにかみながらもニッコリと微笑みを浮かべて言った。
「亮介くんが私を花嫁にしてくれる日、かな」
瞬間的に彼は唾が喉に詰まってむせた。余程動揺したのだろう。
「は、花嫁ってあのな……まだその話は早過ぎだって…」
コホコホと最終的には咳き込みながら言う亮介。だが美香はさぁどうかな的な笑みを浮かべて言い返す。
「そうでもないと思うよ。長い早いって思ってるとすぐ来ちゃうよ」
「そういうモノか?」
「うん。そういうモノだよ。でも私はいつでも待ってる。亮介くんがいつか私を花嫁にしてくれる日を、いつか私も『藤丸』の苗字を名乗れる日が来るのを…ずっと待ってるからね」
亮介はその言葉を聞いてドクンと心臓が大きく鼓動した。
───美香を幸せにしてあげたい。いや、美香と一緒に幸せになりたいといった方がいいかもしれない。
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