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もしあの言葉が本気でも自分は彼女の記憶を取り戻す。取り戻した先に何があるのかは分からない。だけど、大切な親のことは何としても思い出させたい。だから───。
「ごめんな、美香」
眠る美香に向かって亮介は小さく謝る。
彼はそう改めて決意を固めるのだった。
次の日、亮介はかなり眠そうな表情だが目を覚まし、時計を見ると早朝の四時。あんまり寝れてなかったようであった。
こんなに朝早く起きても何もすることが無いので二度寝しようと思ったが何だかそういう気分にもなれなかった。
チラと横目で美香を見る。彼女はぐっすりと寝ていてまだ起きる気配はない。昨日あんなエロティックな展開になったことは彼女には秘密にしておこうと思いながらとりあえず外に出て自然の空気とやらを吸うことにした。
部屋を出てロビーに来た亮介。するとロビーには既に秋が居た。彼女は手に何か袋と紐らしき物を持ちながらそのまま外に出ていってしまった。
「どこに行く気だ…?」
不思議に思いながら彼女の後をこっそりつけていく事にした彼もそのまま外に出る。言っておくがストーキングではないのであしからず。
秋は入り口から宿の裏側に回り、後をつけていた亮介も宿の裏側へとやってきた。
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