第十章 ドキドキ温泉旅行

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 それから太一は秋としか遊ばなかったが、亮介はまぁいっかで軽く流した。  しばらく秋と太一が遊んで(たまに亮介も一緒に遊ぼうとしたが、やっぱり太一は全く彼とは遊ぼうとしなかった)いるのを見た後、そろそろと宿に戻ることになった。その帰り道で亮介は何気なく彼女に訊いた。 「そういや、太一はいつから飼ってるんだ?」  秋は少々驚いたようにピクッと体を揺らして答える。 「え…太一ですか? さ、三年前くらいです。も、元々は野良だったんですけど、う、うちの前で傷だらけになって倒れてたんです。だ、だから、傷が治るまでうちに置いておこうっていうことになってたんですけど、治ってもう、うちを全然離れないからこの際飼っちゃおうって…」 「ふーん…そうだったのか。何となくだけど、太一がお前の家族にしか懐かない理由が分かったよ」 「そ、そんなになつかれてますか? 私…」 「あぁ、かなり。まぁ他人に懐かないみたいだから余計に懐いているように見えるんだろうけどな」  苦笑しながら言う亮介に秋も恥ずかしい気持ちを抑えながら彼にある事を訊いた。 「あの、わ、私からも質問していいですか…?」 「ん?」 「その…失礼だとはお思うんですが…亮介さんって菊崎さんと美香さんのどっちのこ、恋人なんですか?」  ブー! 突然の質問に亮介は吹いた。 「バ…ッ! ど、どっちでもないって! お、俺にそ、そういう相手はいないからっ」  そして少し恥ずかしいのか顔を赤くして慌てながら答えた。
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