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「美香っ。何でお前が俺の部屋で一緒に寝てんだよ…!」
そんなのんびりとした美香に少々息を荒くした亮介が質問した。
「あれ? 亮介くん…?」
彼女は不思議そうに亮介を見てすぐに周りを見回し、自分の部屋ではないことに気付くとしまったとばかりに慌てだした。
「ご、ごめんなさいっ。多分その…昨日お手洗いに行った後、寝ぼけて亮介くんの部屋に来ちゃったみたい…」
亮介は成る程なと頭を押さえながら納得すると、先にリビングへと向かっていった。美香も寝ぼけていたとはいえ、亮介と一緒に寝れた事をちょっぴり嬉しく思いながら遅れて向かった。
それからお互い制服に着替えていつも通りのように朝食を食べていた。
「にしても…まさか美香の制服姿が見れるなんてな。しかもウチの」
亮介がモグモグとベーコンエッグを食べながら美香の制服姿を見て呟く。
「私も正直自分でもまさかって思ってるよ。今まで学校に通うことが無かったし…制服なんて着れなかったからね」
「そっか…今まで外に出してもらえなかったから学校に通ってないのも当たり前だっけ…。ごめん、嫌なこと思い出させちまって」
「ううん。大丈夫だよ。実際こうして通えるようになったんだしね」
美香は微笑んだ後、ふとベーコンエッグを見つめながら話しかける。
「ねえ、亮介くん」
「ん?」
「今更こんなこと訊くのは失礼だと思うけど…。えっと…本当に私でいいの? 裕佳梨さんを選ばなかったこと…後悔してない?」
真剣な声で訊いてきた美香に亮介は少し黙り込み、ちょっぴり呆れたようにため息をついて言った。
「後悔するぐらいなら言わないって。きっと裕佳梨だって分かってくれてると思うし、それに俺はお前のことが好きだ。
あの時も言ったけどお前は俺にとって世界で一番大切な人なんだ。だからお前には俺の傍でずっと俺を支えていてほしい。っていうのは理由にならないかな…」
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