129人が本棚に入れています
本棚に追加
言うと、弟は悔しそうな表情で、唇をかんだ。
「ごめん。おれは、今まで、姉ちゃんを護れなかった」
「…」
「むこうでなら護れる。おれは十歳になったから、もうここにいなくてもいいんだ。姉ちゃんもいっしょに、帰ろう」
なんとは、なしに。
弟がこの世のものではないことには、気付いていた。
彼は父さんと母さんから生まれたのは間違いない。…私と違って。
だけど。
多分、彼は間違ってこちらに生まれたのであって、本当は違う世界の人なのだと、弟といるとぼんやり分かっていた。
一応、血がつながっているのに、両親は気付いていなかったけど。
、
最初のコメントを投稿しよう!