水鏡の旅立ち

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言うと、弟は悔しそうな表情で、唇をかんだ。 「ごめん。おれは、今まで、姉ちゃんを護れなかった」 「…」 「むこうでなら護れる。おれは十歳になったから、もうここにいなくてもいいんだ。姉ちゃんもいっしょに、帰ろう」 なんとは、なしに。 弟がこの世のものではないことには、気付いていた。 彼は父さんと母さんから生まれたのは間違いない。…私と違って。 だけど。 多分、彼は間違ってこちらに生まれたのであって、本当は違う世界の人なのだと、弟といるとぼんやり分かっていた。 一応、血がつながっているのに、両親は気付いていなかったけど。 、
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