水鏡の旅立ち

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片付けなくては、と思った。 じんわりと手に汗が浮く。 こんな家の状態では絶対に両親に怒られる。例え弟が犯人が自分であると正直に言ったとしても私は絶対に怒られる。 何故なら私は、『お姉ちゃん』であるからだ。 『弟』では・・・、『子供』ではないから。 怒られるのは嫌だ。怖い。絶対嫌だ。 多少乱暴におもちゃ箱の中にミニカーを投げ入れる。他の部屋もあるのだから、あまり時間は掛けられない。 しかしそんな私の行動を全く意に介さず、弟は部屋を荒らすのを止めなかった。 唯一まともだった本棚に手を突っ込むと、ばさばさばさばさと乱暴に本を出し始める。
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