水鏡の旅立ち

8/25
前へ
/45ページ
次へ
嘘ではない。多分。 私も、小六にもなれば普段黒い人間の目が突然金色には変化しないことを知っている。…知識としては。 でも小さい頃から、時たま弟の目は色が変わるのだ。そう、唐突に。 そしてそんな時に言う言葉は、間違いなく本当に起きる。 私にとっては日常(というほど頻繁に起こることでもないけれど)だから、あまり動じない。とりあえず、ため息ひとつ盛大についてリュックを背負った。 「姉ちゃん、協力して?」 金色の綺麗な瞳を細めて、にっこり笑って言う。 気は進まないが、断れない。しかたがないので弟の言葉を信じることにした。 その後の弟の行動ははっきりいって意味不明だった。 弟の言うとおり、探しているものを二人で調達するが、弟の言う探し物とは『役に立つもの』らしい。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加