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勇者のモノマネは一向に上手くならなかったが、一年と余月が流れた。
この頃には勇者も町人や役人とよく話すようになり、同じ見回りの者達に至っては勇者のモノマネにツッコミを入れる者もいた。
ある日勇者は見回りの者の誘いで占いをする事になった。
「とにかくよく当たるって評判なんです!朝から並んでいる者もいるほどですから!」と言うので、その者の後について行った。
しばらく歩くと、小さなテントに着いた。
テントの前には全身を黒のフードで隠した受付が、まるで亡霊の様に入口を塞いでいる。
気味が悪かったが、そんなのお構い無しに見回りの者は受付を申し込んでいる。
勇者のテンションは下がったが、受付を二人分済ませてくれたので、少しホッとした。
今は占い中なので、次に見回りの者、次に勇者となった。
テントから男女が出てきた。どうやら2人の今後を占ってもらったらしく、手を繋いで帰っていった。
次に見回りの者が入る。
ちなみに受付をしているのは女性で、勇者をこよなく敬っている。
が、緊張のあまり声や体が震え、亡霊っぽさに拍車をかけている。
それに気付いて「大丈夫?」と勇者が聞くも『は、ハイィィ』と裏返る。
可哀想ですね。
少しして見回りの者が出てきた。来年には結婚できるとか、出世できるとか上々な占いだったみたいで、かなり浮かれている。
次に勇者が入る。
そこは意外な空間だった。
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