世界は変わる

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存在の通り、魔王は悪魔的な速さで今のセリフからの情報を読み取り、自分の抱いた疑問と照らし合わせ、仮説を浮かべた。 『全てを終わらせるなら、炎や光で消滅させるのが定石だろう。 実際に奴は部下たちをそうして葬ってきた。 しかし、奴は我を封じ込めると言った。 それはつまり、肉体や精神のどちらか片方が消滅しても、一方が残ってさえすれば、どんな形にせよ蘇る事が出来る《魔族の回生》を知っている可能性があるという事。 これは、決して人間が知ることなど有り得ない。《魔族の回生》とは、人間達の寿命を遥かに上回る時間で繰り返されているのだから。 そして奴は、今まで誰に対しても封印はしたことがない。 同じ思想を持つモノが現れる事を恐れるなら、全て封印するだろう。 これらを踏まえて推測すると、奴は恐らく人間ではない。 神の類でない事も確かだが、魔族であろう筈がない。 覚醒魔族なら有り得るが、肉体的な強さの説明がつかない。 ………このまま封印されれば永遠の時間の中で答えも出るだろう。 だが、全てを捨てるのもまた一興。 賭には違いないがな。』
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