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仮説が賭けに変わった頃、勇者による封印は進められていた。
魔王を中心に二重の円が描かれ、眩い光が辺りを照らす。
術式の完成間近に事は起こった。
「最後の悪あがきだ!受けよ!」
不意に自分と同じ言葉を発する魔王に驚き、防御が一瞬遅れる!
が、何も変化はない。
多少衝撃はあったが、ダメージといえる程ではなかった。
「哀れな魔王よ、永遠に時をさまようがいい。」
その言葉を聞いて魔王は静かに笑ったが、勇者には見えなかった。
辺りを包んだ光はやがて一点に集まり、小さな結晶となり床に転がった。
勇者はそれを拾い、剣の柄に押し当てて呪文を唱える。
すると、まるで柄に吸い込まれる様になくなった。二重の封印である。
「………終わった。」
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