路地裏の黄昏

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  二  古風な、黒髪の少女は云った。限りなく闇色に近い瞳の少女だった。 「お困りですか? わたくしでよろしければ相談にお乗りしますが」  探偵事務所ならば、困った人間なぞ、幾らでも来るように思えた。彼女が、私の疑問を読み取ったように頭を振る。 「わたくしはあまり外に出ることがないのです。いつもなら黒猫さんがお客様の相手をして下さるから……」  黒猫さん。猫が応対するというのだろうか。
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