路地裏の黄昏

2/7
前へ
/21ページ
次へ
  二  古風な、黒髪の少女は云った。限りなく闇色に近い瞳の少女だった。 「お困りですか? わたくしでよろしければ相談にお乗りしますが」  探偵事務所ならば、困った人間なぞ、幾らでも来るように思えた。彼女が、私の疑問を読み取ったように頭を振る。 「わたくしはあまり外に出ることがないのです。いつもなら黒猫さんがお客様の相手をして下さるから……」  黒猫さん。猫が応対するというのだろうか。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加