路地裏の黄昏

4/7
前へ
/21ページ
次へ
 少女は微笑を浮かべている。まるで、夢の中にいるような表情をしていた。 「――囚われ……て?」  意味がよく分からなかった。何が言いたいのだろう。 「人はこの場所を、黄昏と呼びます」  少女は窓に手をついて、そう呟いた。外は暗がりで、人の顔さえ見えない。振り返る少女の顔も現実味がなくなってくる。黄昏に生きる者であったとしても、何の違和感もなかった。少女が、「無駄な話をしました」と苦笑する。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加