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日差しが反射したアスファルトのキラキラは、いつまでだって見ていられる。
水面のキラキラとか、真っ白な雪のキラキラとか、キラキラにはいつだって心を奪われてしまう。
そんな時のアタシこそが、桜井先生の心配してやまないアタシなのだろうけれど。
学校の帰り道、はじめてシバタをママの喫茶店へ誘った。
時々、一人で寄ることはあるけれど、誰かを誘うのははじめて。
だからといって、今日男子達に意地悪されていたシバタに同情していたからではない。
あのピンク色のソーダ水を、シバタと飲みたかったから。ただ、それだけ。
「うん。行きたいな。飲んでみたいな、ピンク色のソーダ水」
シバタは黙って付いてきた。アタシも黙って歩いた。てくてく。てくてく。
けれども、それはちっとも気詰まりじゃなくて、むしろ心地よいものだった。
草木の濃い匂いとか、むっとした空気の合間に一瞬そよぐ風だとか、互いにそういうもの達に心ときめかせているのが解ったから。
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