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今日の授業は午前中だけの授業だったのだが、あまり、月弥に話し掛けてくる者はいなかった。積極的に話し掛けてきたのは薫だけだった。
薫
「陽陰ってさぁ、205号室、怖くねぇの?俺は204号室にいるんだけど、隣り合わせでもたまに嫌な空気を感じるぜ?」
月弥
「怖くはない。怖がる必要もないから」
本を読みながら相手に視線を向けずに答える。
薫
「すごいんだなー、陽陰ってさ!」
月弥
「すごくはないけど…あの部屋に入ろうとした人のほとんどが部屋を入る前に部屋をかえてもらいたいと来ているだろ」
薫
「正解!!なぁ、月弥って呼んでいい?」
月弥
「好きにしてくれ」
嬉しそうに話し掛けてくる薫に自分の名前を呼び捨てで呼んでも良いことを許したのはその性格だった。
自分の名前は滅多に人には呼ばせることをしない。でも、薫なら…と思ったのだ。
薫はきっと、大事な友達になる。
なぜか、確信しているように、自分の中でこの言葉が浮かんできたのだ。
ふっと月弥は微笑むのだった。
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