秋の味覚に誘われて

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ていうか.... この子、箸使えねーぞ。 しょうがねーな.... カウンターの中の主人に声をかけた。 「あの、悪いけどフォーク貸してもらえますか?」 帰国子女だから箸使えないとか言い訳考えたけどそこまでする必要ねーな。 俺がフォークで食べる真似をしてから渡すと彼女は俺がしたようにラーメンを口に運んだ。 「どう?美味い?」 彼女は頷いてから俺を見て微笑んだ。 「スープはこんなもんで飲むのは邪道!」 俺はレンゲを置くと丼を持ち上げ直接口をつけてスープを飲んだ。 彼女は....真似してるしっ! 変な奴.... 俺は彼女が夢中でラーメンを食べるのを見ていて、何か自然と笑顔になっちまった。 店を出ると彼女はまた俺の腕に掴まってきた。 何て言うか不謹慎なんだけど.... こういうのっていいよなぁ.... アパートの部屋の前で俺は彼女に釘を刺した。 「俺の部屋、すっげー汚ねーから覚悟して入ってくれよ。」 ドアを開けて電気をつけると相変わらず殺風景でボロい部屋。 まさかここに女の子が入る日が来ようとは....  
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