秋の味覚に誘われて

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秋だな 秋の味覚つーと? やっぱ松茸っすかっ! 土瓶蒸し? 食った事ねーし.... ていうか 「腹....減った」 冷蔵庫を開けると賞味期限の切れたマーガリンがひとつ.... 俺はそっと冷蔵庫のコンセントを抜いた。 畳に大の字になり天井を見ると、自然と出るため息。 バイト探さなきゃな.... ポケットを探ると小銭が寂しい音を奏でた。 先月、店長にムカついて辞めたスーパーのバイト.... 給料良かったのに、俺ってダメだよなぁ。 長続きしねー。 いつになったらこのボロアパート出れんだろ.... ん? 着メロ? この曲は.... 俺は飛び起きて携帯を開いた。 「も、もしもしっ!」 「健斗?あんた全然連絡よこさないで生きてんのか死んでんのかもわからないじゃないのっ!」 お袋の声を聞くのは3ヵ月ぶりだ。 「いやぁ俺も何かと忙しくてさ....」 「あんたちゃんと仕事行ってんだろうねっ?クビになったりしてないだろうね?」 母ちゃん鋭い! 「クビ?そんな事あるわけねーだろっ!」 自分から辞めたんだけどな。  
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