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「わざわざすまないねぇ。」
少女は独特の喋り方をして、六からハンカチを受け取る。
「じゃ。俺はこれで。」
六はそこまで言うと少女に背を向けて歩き出そうとした。
しかし、
「ちょっとお待ち。」
という、少女の言葉に六はピタリと止まった。
「何か用か?」
六は顔だけ振り向き、少女を見る。
「言っておくけど、私は『お前』じゃないよ。紫という、きちんとした名前があるんだ。アンタに、『お前』呼ばわりされる必要はないね。」
「俺にだって六という名がある。お前に『アンタ』呼ばわりされる必要はない。第一、初対面だからお前以外呼びようがないだろ。」
「失礼だねぇ。普通、『お嬢さん』とか言いようがあるだろう?」
「自分の事を『お嬢さん』と呼ぶか?普通。」
六の一言にカチンときた紫は傘をたたみ、傘の先端を六に向けた。
「どうやら、少し痛い目に合わないと分からないようだねぇ!!」
紫がそう言った瞬間、傘の先端から何発もの弾丸が放たれた。
ドドドドド!!と、銃声が後から聞こえる。
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