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「一京。」
「何ですか?」
番京の呼び掛けに一京は首を傾げる。
「ごめんな…。兄貴らしい所、何一つない兄貴で…。オレ、こんな性格だから…、お前に良い所を見せてやれなかった…。」
「…何言っているんですか。例え…、どんな性格であろうと兄上は兄上です。他の誰でもありません。私の、たった一人の兄上です。」
「一京…。…ありがとな。…行ってくる。」
一京の言葉に番京は小さく笑うと、一京も笑い返した。
そして番京は笠(かさ)を被り直すと、寺から出ていった。
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