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七が旅に出て、あれから一週間がたった。
ヒラヒラと、桜の花びらが舞う季節になり、六は桜を見上げていた。
「綺麗だな…。」
六は桜の美しさにすっかり見惚れている。
そんな中、ふと道の方を見ると、桜の花道を一人の少女が歩いてきた。
少女は長い黒髪を風になびかせ、蛇傘を差して歩いていた。
その姿はあまりにも綺麗で、とても現実とは思えなかった。
六は黙って少女が通り過ぎるのを見る。
少女が通り過ぎると、地面に何かが落ちていた。
それは白いハンカチだった。
六は慌てて地面に落ちている物を拾い上げ、少女の後を追った。
(そう遠くには行ってないハズ…!!)
六がそう思いながら走っていると、桜の木を見上げている少女の姿を発見した。
少女の側に来て、六は止まる。
六に気付いた少女は彼を見た。
六は一息つくと、
「これ、お前のだろ?落ちていたぞ。」
と、ぶっきらぼうに言い、ハンカチを差し出した。
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