恋に堕ちた時に生じる危機的状況を救う為の唯一にして美しい手段

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一瞬だった。 ホント一撃。 あ、やられたな、みたいなのも一切なしで。   一目見た瞬間に三、四回は死んでたと思う。 こういうのをイッたっていうのかな?   魔女は恋に堕ちたら死ぬというので、自分が恋に堕ちやすい気がした私はずっと包帯で目をグルグル巻きにして、誰も見えないようにしていた。   そして今日、ふとした拍子に緩んだ包帯と目の前にいたアナタ。   これって絶対運命だと思う。   私は恋に堕ちた。だって胸がこんなにドキドキ……よく胸が張り裂けそうとか、心臓が飛び出そうとか言うけど、私もちゃっかりその仲間入り。   えへへ……なんか照れるな。   とか思ってたら実際に心臓が胸を突き破って飛び出ていた。びっくり。   とりあえずおばあちゃんの所に行ったら蛙か石像にでも変えられかねないので、私は町のお医者さんの所へ診察に行った。 もちろん飛び出た心臓を手に持って。   「いや、驚いたな」   お医者さんはびっくりした様子でそう言った。 私だってびっくりしたんだからお医者さんはもっとびっくりしたんだと思う。   「結論から言うと、その心臓は戻せない。飛び出た心臓を戻すなんて、モーセにだって不可能だよ」   てことは、私死ぬの?    「いや、大丈夫。心臓の代わりに君の胸にはハートができてる。ドキドキしてるのがわかるかな?それが心臓の代わりをしてるんだ」   レントゲンにはくっきりとハートが写っていた。  
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