人生の汚点

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  腰抜かしたことあるヒト手ぇあげてー。       「はーい」       オレ一度だけあるぜ。 恥ずい話だが、もう時効だろ、教えてやる。       あれはオレが21歳で、弟が通ってた高校の文化祭に、当時のナオン(女)と行った時のことだ。   弟のクラスのオバケ屋敷で、角からオバケが出てきた瞬間に腰が抜けた。   彼女は別に驚いてなかったみてぇだけど、オレだけその場に、垂直に体育座りしちまった。       おい、そんな冷めた目でオレを見るんぢゃねぇ。       「なんかここすべる」       て聞こえるように独りごと言って起き上がったぜ。   ナイスフォロー、オレ。   転んでも、ただぢゃ起きねぇ! 大人をなめるなよ!         あの時のオバケ役、弟の友達だったらしく、 『なかしり兄、ひとりコント』 が少しの間、ウワサになったらしい。
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