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----……オンコロコロ シクダリマトウギャ ソワカ……----
漆黒の闇のなか、明らかに日本の言の葉と違うモノを紡ぐ男がいた。
……その言葉は、分かる者には分かる言葉。そう、「呪文」
「っ、な、に?体が重た、い……」
その闇の中、呪文を唱える男は一つの家を見つめていた。
その家の一室で、息苦しさと、重みに気付き目を覚ました娘は、辺りを見回す。
『娘よ。応(イラ)えよ、応え!我の声に応えよ』
「―――っ、ひっ!」
よくよく見ると、自分の間近には獣の形をした、何かが居るではないか。
己の存在に気付いた娘に対して、【呪】は、「ニタリ」と笑う。
『クク……、恐ろしいか?我が。……まぁ、しょうがないだろう。しかし、そなたほんにあの娘に関わりある者か?』
呪は娘に対してそう聞いた。……が、やはり恐ろしいらしく声が出ない。
ただただ、涙を流し、首を振るだけ。
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