創-はじまり-

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『いかにも。しかし、念がための事。もし、違っていようともあれしきの小娘なぞ、どうなっても良い事ゆえに……』 「フッ……、確かに。まぁ、まずはあの娘を使って様子を見よう……」 『御意に。娘の監視役、我が致しましょう。……必ずや、良い結果をば』 男に向かいやけに畏まって言うその者は、男の返答を待った。男は、薄く笑うとその口から言の葉を紡ぐ。 「あぁ……、頼んだ。俺は、北の方で待っている。俺の残滓(ザンシ)を掴みながら来い。良いな?」 『分かっております。我が主よ……。では、また後にて』 男を主と呼んだ者は、そう言うとどこかへ行ってしまった。その者の残滓がなくなった頃に、男は先程、呪詛を取り行った娘を見ながら冷笑を浮かべる。そして、口を開いた。 「さぁ……。これから、何が起きるかな?」 男はそう言うと、人の動きとは言えない速さで、木から人家へと飛び退って行った……。 .
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