調 -しらべ-

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娘の祖母・梅は、十二天将を呼び愛孫を紹介した。……「あなた方の新しい主」と言いて。 実際、十二天将を魅た者はみな、その神気に畏怖(イフ)する。赤ん坊など連れてくると、しばらくは泣き止まない。 しかし、梅の連れてきた赤ん坊は泣き叫ばなかった。十二天将が最強、火将・騰蛇に抱かれても……。 ゆえに、彼ら十二天将はその娘を主に迎えた。……名は、騰蛇、蓮煕(レンキ)が付けた。宝石のように光り輝き、美しくあれと言う意味で『瑠璃』と……。 「良い。気にしないで。……何事?」 『………瑠璃、どうした?』 「蓮煕、……丁度良かった。隠形(オンギョウ)を解いて……顕現(ケンゲン)してくれない?」 『……あぁ、分かった』 そう答えたのは、十二天将最強の男、火将・騰蛇。 「で、何事だ?菖蒲(アヤメ)。こんな時間帯に、瑠璃を起こすとは?急ぎの用か?」 「騰蛇様……。申し訳ございません、あなた様にまでご迷惑を」 「良い。……とにかく、瑠璃に用件を話せ」 「はい。……実は、瑠璃様にお電話が。名を、沙希と」 「沙希が?……なんで、こんな時間に?ううん……、それよりも、あたしに話があるなら携帯に直接、電話をすればいいのに」 .
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